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「綱!」
先に見つけた綱元の後ろ姿。
「凪さんっ」
こっちに振り向き様、その背後に迫る黒い影。攻め入って来てるのは忍の集団?
綱元の反応が間に合わない。
くないが首元に迫る。
「ちッ」
思わず出た舌打ちと同時に床板を踏抜き、浮かび上がった木片を飛ばす。
こんなのは目眩ましにもならない。別にそれでいい。ほんの一瞬の隙さえ出来れば。
綱元の首筋が少し斬られる。
「こ、のっ!!」
体重を乗せた拳が綱元にくないを向ける忍の顔面にめり込んだ。
「綱、大丈夫か?」
綱元の首の皮膚が多少切れたけど、ギリギリセーフだろう。
「凪さん、すいませんっ。助かりました」
「いや、いい」
声を掛けた私も悪いし、ほんと間に合って良かった。
あちこちで応戦している兵達。目に入る数が全てなら、三十人程か。手練とはいえ、昼間に忍が堂々と攻め入って来るのには首を傾げたくなる。
「とりあえず、退ける!」
何はともあれ、外堀を越えられて攻め込まれるなんて論外だ。
「凪さん!」
後ろから二本の刀が飛んでくる。
私の愛刀[梓月]と[華鳳]だ。
兵衛の奴、刀持って行けって政宗に言われたかな?
「サンキュ、兵衛!」
こいつがあれば百人力だ。
私は謎の忍集団に突っ込んで行った。
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