ふたりの想いは、ねじりあう

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仕事の終業を告げるチャイムが鳴った。 珍しく全ての仕事が定時に間に合ったので、今日は全員定時帰宅が許された。 男はこのような早帰りの日を心待ちにしていた。 そして遂に時は来た。 「話があるから」と男は女を連れ出し、会社から歩いて10分程度のところにあるカフェに入った。 「あのさ」 男は意を決し、女に話しかけた。その表情はいつもよりも少しだけ固い。 「なんですか」 女はいつものように返事をした。その表情はいつもよりも少し穏やかだ。 「オレ、キミのことが好きなんだ」 男は好き(異性として)だと伝えた。 「私も嫌いじゃないですよ」 女は婉曲に好き(友達として)だと伝えた。 またもやふたりの想いが、ねじれあった瞬間だった。
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