停電 180823

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暗くなった。 真っ暗。 舌を止めた。何も見えなくなった。美波はまだ喘いでいた。更なる刺激を求めているのか。取り急ぎここは舌技を続けて、美波を一回いかせてあげようと思った。美波は僕の舌をたっぷりと味わうようにして、自分のペースでゆっくりと階段を昇るように絶頂に上り詰めた。一旦頂点に達すると、何度も、何度も、更に高い頂上に達する。なんてかわいいんだ、と僕は思う。いやかわいいというか。何といったらいいだろう。妖艶。そう妖艶。魔力的というか。かわいくて魔力的。魔力的でかわいい。こんなふうに達する娘を、僕は今まで知らなかった。この娘の絶頂は、と僕は思った。完全に絶頂の世界に入り込んでいる。しかし。自分本位の絶頂ではないんだ。僕は舌を休めずに、頭の中でそう思った。美波がまた新たな頂点に達する。ほら。美波には僕の思いが伝わっている。僕の愛が伝わっている。完璧に。否。完璧以上に。言葉で伝わるというのではない。身体で伝わるのだ。こんなふうに思いが伝わるということは。こんなふうに完璧以上に身体で思いが伝わるということは。僕の頭の中に古い言葉が閃いた。赤い糸。そう。それだ。それ。赤い糸。まさに僕達は。
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