停電 180823

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この話のオチはなかなかにスリリングだ。 ベッドの中で気づくと、夜の11時だった。まずい。帰らねば。暗い。電気をつけてみる。つかない。てことは。ドアも開かないのか。僕は隣でスヤスヤ眠っている美波を起こした。 美波ちゃん、美波ちゃん、ごめん、もう11時。 うーん。 美波ちゃん、大丈夫? うーん。まずい。かも。 どうしよう。 帰ろうよ。 ドアが開かない。 え、まじ? まだ停電? 外すごい嵐だ。まだこれからひどくなる。明日まで停電かも。 ヒロくんは大丈夫? いやまずい。かも。 どうしよう。 フロントに電話。 もちろん電話は通じない。一応やってみた。音が出ない。 それで、僕達は最大限に頭を使って、今日外泊する理由を考えた。台風で帰宅困難になり、会社で足止めを食らってしまった。帰路に増水している河川があり危険なため、会社の研修室で寝泊まりすることになった。うん。そうだ。そういうことにしよう。そういうことで、お互いにお互いの自宅へ携帯で連絡をすることにになった。まずは美波が美波の旦那へ。次に僕が僕の奥さんへ。お互いに気まずいので、トイレで電話しよう、ということになった。仕方ない。帰宅困難というのは本当だ。嘘じゃない。じゃ、電話かけてくるね。そう言って美波がベッドを降りたところで、停電が終了した。部屋の電気がいきなり煌々と一斉に全開で灯った。あっ。目がフラッシュバックした。中年男女の裸が目に焼き付いた。
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