突然の告白

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 そうですって……。  一番奥の部屋を見ると、なんとなくうっすら壁が黒ずんでいるというか、異様な雰囲気が漂ってるような気がする。ゾクッと寒気すら感じた。 「ただの空室ですよね?」  尋ねながら振り返ったら、クマの姿はそこに無く、既に階下へとっとと降りてしまっている。俺は部屋の前でダンボールを下ろし、すぐにクマの後を追いかけた。でも、残りのダンボールは俺が一人で持つには重すぎたり、大きすぎたりして結局クマが運んでくれた。俺は自室へ戻り、部屋の前のダンボールを中へ運び入れる作業に専念した。 「すみません、本当に助かりました」  お辞儀してお礼を言うと、クマは顔を真っ赤にして頭に手なんて当ててはにかんでる。シャイな人なのかもしれない。 「こんなの朝飯前です。いつでも頼ってください」 「ありがとうございます」 「で、荷物なんですけど、中身はなんですか? あの、よければ組立とか手伝いますけど」  クマが目をキラキラさせて言う。 「いや、だいたいは本やDVDなんかなので。組み立てるような大きな荷物は午後に届くようになってます」 「午後からですね! 分かりました!」  なんでクマは嬉しそうなんだろう。 「あ、いや。大丈夫ですよ。ゆっくりやりますんで」 「遠慮しないでください! この寮は助け合いがモットーなんです。特に新人さんには先輩が寮の伝統を教えるために、率先して引越しの手伝いをするんですよ」 「はあ……伝統……ですか」  人のいい親切なクマだな。  散々クマ呼ばわりして申し訳なかったと今更ながらに反省した。 「あ、じゃあ、簡単に寮の説明をしますね!」 「よろしくお願いします」
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