ブルー・バード

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 ステージの袖から走り出てきて、軽やかに高くジャンプ。まるで、宙に止まっているように見えたわ。音楽に合わせて、しなやかな体から語られる物語をいつまでも、いつまでも見ていたかったの。一緒に踊るのは、私じゃなかったけれど。  だから、私を人生のパートナーに選んでくれたときには、夢みたいで信じられなかったもの。  レッスン場のすみで不器用に踊る私に気づいていたなんて。  いつでも楽しそうに踊っているから。だから、つらいレッスンをしていても、楽しそうに踊る君の笑顔を思い出すと、バレエを嫌いにならずにすんだよ。  そう言ってくれたのよ、覚えている?  左手の薬指は、結婚式であなたが私の指につけてくれたその時のまま、今も光っている。  これでどうかしら。髪を結いあげて、小さな金の冠を頭に乗せた。ほら、私はフィオリナ姫。青い鳥のパートナー。あなたの得意なレパートリー、私が大好きだった踊り。  トウシューズは……はいてみましょう、せっかくだから。もう爪先で立つなんてできないけれど。  若いときには、思いもしないことよね。  いつか踊れなくなる日が来るなんて。ずっと踊れると思っていた。あなたなら、ずっと、って。  人が減っていって不自由になる生活を、アンドロイドが手伝ってくれたけど、なぜか踊ることはできなかったわね……どうしてかしら?     
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