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人類の知識の粋を集めた宇宙開発の技術力で作られて、器用に家事や介護をしてくれたのに、歌うことや踊ることには向いていなかった。
芸術には魂がなければいけないんだ、ってあなたは言った。
感動は魂の共振だから……それを持たないアンドロイドには踊れないんだ。
ほんとうは音楽を流したいわ。でも送電は一週間まえに終わったし、蓄電池もあなたを見送るときにレコードをかけたら使いきっちゃった。
私がレッスン場に戻ると、外からは歌声が聞こえた。聖歌? ちがうわ、聞き覚えのある懐かしい曲調。仕事が終わって家路を急ぐ歌。
わたしもそれにあわせて鼻歌をうたいながらゆっくりと踊ってみる。丸まりかけた背筋をできるだけ伸ばして、ゆっくりゆっくりとステップを踏む。
隣にまぼろしのあなたを見つける。
レッスン場に集まった子どもたち、生徒たちに教えるあなた。
私たちの選択は、間違ってはいなかったのかしら。
子どもを持つことはなかったけれど、たくさんの子どもたちを教えたわ。でも、物流が鈍くなって、トウシューズ一足、レオタード一着手に入れるのから苦労が始まって、大きな国際大会はおろか、教室での発表会もままならなくなって……。
あなたも、年老いて踊れなくなった。
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