パァンッ

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 目を覚ました私は直ぐにでもこの場を離れなければならないという焦燥感に駆られた。太陽に晒されて乾いた腐葉土のような色に染まる大地が眼前に広がる。突き刺した針を戻し、濡れた唇を名残惜しく離した直後のことだ。大地が急上昇を始めた。頭をかち割らんと言わんばかりの重い気圧に息が出来なくなる。酸素の足りない頭で考えることはただ一つ。  逃れなければ!  一瞬の浮遊感の後、身体の両側から襲われた圧迫感を最後に私達の意識は途絶えた。命の潰れる鈍い音は、鼓膜がはち切れんばかりの甲高い轟音でかき消された。
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