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小説が大好きだということも編集者を志望した理由の一つだけど、その詩が誰の作品だったのかを探したいというのも、隠れた志望動機だ。
「天沢さんは、鏑木先生とは長いんですか?」
「……まぁ」
隣を歩く天沢さんを直視しないように気を付けながら、話しかけてみる。
天沢さんもちらりとこちらを見ただけで、すぐに進行方向を向いてくれた。
だけど、いつも滑らかに話す天沢さんにしては珍しく、ハッキリしない返事だ。
「天沢さん?」
「そうだ。鏑木先生が好きなドーナツを買っていこうか」
「え? あ、はい」
鏑木先生はドーナツが好きなのか!
これはいきなりファン心理を擽る情報だ。
甘い物が好きなんて、ますます可愛い女性なのだろう。
和菓子も好きだといいな。そうしたら、美味しい和菓子を持って行って、一緒に食べられるかもしれない。
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