773人が本棚に入れています
本棚に追加
思わず、興奮から鼻が膨らみそうになったけど、先生と一緒に食べるなんて、編集の立場の人間ができることではないか、と思い直した。
これから、私はファンの一人として会うわけではないのだから、公私混同などありえない。
合言葉は『一流の編集者』だ。全てはそこに繋がる。
だてに長年、本当の自分を隠してきたわけではないのだ。今こそ、その成果を発揮する時だ。
「萌々子ちゃんは、いつから鏑木先生のファンなの?」
「デビュー作からです! 突然、彗星のように現れた高校生作家。若くして書いたとは思えぬ、深みのある表現の数々。大御所の方々からの高評価。天才です! 生まれながらにしての作家です!」
「……本当に好きなんだね」
笑いを含んだ天沢さんの声に、血の気が引いていき、顔だけが熱くなっていった。
一瞬前に、自分を隠してきた成果を見せると誓ったはず!
最初のコメントを投稿しよう!