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「……先生って、一人暮らしなんですよね?」
ドーナツがたくさん入った箱を手に、天沢さんに連れられて着いたのは、閑静な住宅地に堂々と建つ立派な一軒家だった。
いや、まずドーナツを買う時点で一人暮らしを疑った。
だって、天沢さんが買ったのは二十個だ。
普通自分たちの分は買わないから、これは純粋に差し入れ分なのだけど、ご家族でも一緒なのかと思っていたら一人暮らしだと言うし。
マンションかと勝手に想像していたら、立派な一軒家だし。
そりゃ、有名な売れっ子作家なのだから、一軒家でも不思議ではないのだけど。
「一人暮らしだよ」
「ドーナツは」
「大好きなんだよね」
「はぁ」
好きで済まされる量だろうか。
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