常識をどこに忘れましたか

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キスは恋人同士でするもの! 純愛の申し子はどこへ行った!? これじゃ、不純だ。不純異性交遊だ。 「理由なんている?」 「必要です!」 「分かった。これからは、理由を作ってからするね。ねぇ、陵介。もうドーナツ食べてもいい?」 先生は勝手に一人で頷いて、混乱の極みにいる私のことなんて興味を失ったかのように、その視線はドーナツ二十個に向いてしまった。 「萌々子ちゃん、とりあえず座ろうか。郁に付き合っていたら、振り回されるだけだよ」 そう言った天沢さんは、これまでのやりとりにも慌てることなく、いつもの天沢さんのままだ。 笑うことも怒ることもなく、当たり前のように受け流しているところを見ると、なんとなく本能的に先が思いやられる気がした。
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