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「また、今日は掃除からか……頼むから、遭難しない程度に綺麗にしておいてくれ」
「陵介が見つけてくれるから、大丈夫」
「もし俺がいない時だったら、どうするんだ? それと天袋に入ろうとするのも、やめてくれ」
「……天袋?」
「そう、さっき和室にある大きめの天袋に入ろうとして、そのまま押し入れの布団の間で身動きが取れなくなっていた」
何て、返事をするのが正解でしょうか。
「だって、窓から入った光が、ちょうどあそこに当たって、浮き上がっていたんだもん。リリリッて音が聞こえたんだ」
「何か、そこに入ってるんですか?」
どこから聞けばいいか分からないけど、ひとまず思ったことを口にしてみた。
恐らく、鏑木郁という人を少しでも理解するには、疑問をそのままにしておかない方がいい気がする。
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