常識をどこに忘れましたか

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「大丈夫、俺が郁の我が儘から守ってあげるから。さぁ、最低限の荷物を暗くなる前に運ぼうか。郁、いいな?」 「モモだけがいい」 「ダメだ。お前、自分がどれだけ手がかかるか、分かっているのか? 萌々子ちゃんがストレスに晒されるのを黙って見ていられない」 いやいやいやいや、待って欲しい! 郁と二人きりも困るけど、天沢さんと一緒だと緊張して死んじゃう。 そもそも、どうしてここに暮らすことが決定しているんだ! 「あの、先生! 天沢さん!」 「郁だよ」 「一人で運ぶのは大変だから、手伝うよ。萌々子ちゃんは何も心配しなくてもいいからね」 今のところ、心配しかないんだけど!! 郁があまり人の話を聞かないのは、ここまでの僅かなやりとりで分かってきたけど、天沢さんは、人の話を聞いてくれる大人だと思っていたよ……。 おかしいな。
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