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「……嬉しくなんてありません!」
「あ、モモの目に光が映り込んでる! キュンキュン鳴いてる!」
「違う、誤解です、それは光であって、私の気持ちを表しているのでは、いいいいい、郁!?」
起き上がって私を覗き込んでいた郁が、嬉しそうに、私の目元に唇を寄せた。
チュッと小さなリップ音が鳴り、私の心臓は後方へ向けて発射した。
郁の両腕はちゃっかり私の身体に巻き付いている。
これでは、恋人同士がじゃれているみたいじゃないか!
「モモの目、綺麗だよ」
今度は殺し文句が心臓に止めを刺しに来ました!
「郁! 早く膝枕をしましょう!」
そして、私はおかしなことを口走って、郁の表情を輝かせてしまった。
嫌ではないけど、意図したものでもない。
嬉しそうに私の膝に頭を置いた郁を見下ろして、どうして、このタイミングで言ってしまったのだろう、と後悔したが遅かった。
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