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「それで、このまま寝てしまった、と?」
「……はい」
膝枕をして数分。
郁がその体勢のまま寝てしまい、いくら起こしても起きてくれず、気付くと辺りは暗くなってしまっていた。
そうして今、目の前には、呆れた表情をした天沢さんが溜息を吐きながら、郁のおでこを叩いたところである。
ぺちんといい音がしたのに、郁は身じろぎ一つしない。
「郁、萌々子ちゃんの膝を一人占めするのはいけないだろう?」
なんだか、注意の仕方が違った気がするけど、ひとまず天沢さんが助けてくれようとしていることに間違いはない。
「郁、起きて。萌々子ちゃんが困ってるから」
「……モモ?」
「そう、足が痛いって言ってるぞ」
うん、確かに痺れています。
天沢さんがデコピンをすると、ようやく顔を顰めた郁の目が開いた。
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