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「陵介、酷い」
「郁の方が酷いな。萌々子ちゃんを困らせて」
「モモ、困ってる?」
不安そうに、寝起きのぼんやりした顔で見上げてくる郁。
薄い茶色の瞳が揺れている気がして、胸が痛い。
「あの、えっと、少し」
恐る恐る返事をすると、郁が悲しそうな表情をして、私まで悲しくなってくる。
「あの、今度から膝枕はソファーにしましょう?」
「分かった!」
とっても元気な返事を、いい笑顔でされてしまった。
隣から溜息が聞こえて、暗に膝枕を許してしまったのだと気付いたが、ふわふわと髪を揺らしながら起き上がった郁には、訂正の言葉など届くはずがなかった。
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