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『またね』
これが君と私とのいつもの別れの言葉だった。
『おやすみ』
これが君が私にいつも贈ってくれる言葉だった。
『頑張ろう』
これが君と私の最後の言葉。
この言葉を最後に、君からの連絡は途絶えた。
私は君の背中を見ていた。
隣を歩いているつもりでいても、気が付くと君は先を歩いていた。
私は追い付こうと必死になって背伸びをして、強がって、生意気なセリフを吐いて、君を困らせて、君が笑う姿を不貞腐れて見て、笑っていた。
いつも、君は私を笑顔にしてくれた。
私と君は、古臭い言い方をすれば"偶然同じ師の元に集った同士"という間柄。
出会ったのは絶対私の方が先だけど、師と打ち解けるのが早かったのは君の方。
君は八つ当たりする私にも親切で、とても優しくていつも周りを気遣う人だ。
それは誰の目にもそう写っていたし、誰もが君の優しさに和まされていたはず。
その分、君が自分を隠していた事をみんな知っていたはずなんだ。
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