がらくたと屑

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俺はすぐさまゴミ捨て場に行った。 分別とかしていないがしったこっちゃねえ。 こんな朝なんだ誰もいねえだろ。 しかし俺の予想は外れ、ゴミ捨て場の前に一人の男が突っ立っていた。 少し待っていればすぐにどこかにいくだろうと思いきや、動く気配がない。 まだシャワーも浴びてないし、なにより時間がもったいない。 俺はそのままゴミ捨て場に向かっていった。 一言、邪魔だといってやろうと思い近づいてみると、朝もやでよく見えなかったが、 俺より身長が高いその男はど派手な金髪だった。 前髪は長く、ちらっとみえるその目はどこか眠たそうな陰気な顔をしていた。 しかもその手には煙草が握られており、明らかに不良とかそんな感じの人種であった。 ……なんだが過去の俺を見ているようで無性に腹が立った。 粋がって、馬鹿やってたあの頃の自分に。 俺は男にさらに近づき、そしてゴミ捨て場に 空き缶やら弁当箱やらペットボトルやら一切分別してないビニール袋を投げ捨てた。 少しだけ気が晴れると、俺はそのままゴミ捨て場から立ち去ろうとした。 「……今日普通ゴミの日だけど。 」 男が突然、小さく呟いた。 俺が捨てたビニール袋をみながら男が発した言葉だが、 俺に注意をしたと思えないほどやる気のない声だった。 ただその事実を俺に伝えただけで、別に俺に対してどうとも思ってないような。 この男の前でゴミを捨てたとき、もしなにか言いがかりをつけてきたのなら、 イライラとしたこの気分を全部この男にぶつけてやろうと思っていた。 ……けれどもそのやる気のない声を聞いて、 俺はなんだが毒気が抜かれてしまった。 「……そうなのか。」 「そうだな。」 そうして男は持っていた煙草をまた吸い始めた。 昨今、煙草の値上がりはすさまじく、懐事情が厳しい俺は禁煙をしていた。 男は別に煙草を旨そうにもまずそうにも吸っていなくて、 義務のようにぼんやりとした顔で煙草を吹かしていた。 こんな朝っぱらからゴミ捨て場の前で煙草を吸っている変な、若い男。 見た目からして不良とわかる男にマナーを指摘されるのも変な感じだ。 そうつらつら考えながら男をじっと見ていると―――― その視線が気になったのか男が億劫そうに口から煙を吐いた。
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