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あの男はまたゴミ捨て場にいた。
ゴミをちゃんと分別して俺はあの男に言われた通り、
明後日の資源ゴミの日にゴミを捨てにきていた。
またあの男に会えるかも、なんてちょっと思いながら。
あの男は一昨日と同じように眠そうな顔で煙草を吸っていた。
俺に気づいているのか気づいてないのか、ゴミ捨て場に現れた俺に一瞥もくれずに
そこに立っていた。
俺はゴミ袋を投げ入れると、何とはなしに男の隣に立った。
「……おはようさん。」
とりあえずはご近所付き合いの一歩として挨拶だよな。
そう思い俺的ににこやかな顔で男に話しかけるが無視される。
……今日はこれぐらいにしといてやるか。
そう思い俺が立ち去ろうとすると―――――
「……おはよ。」
小さい、本当に小さい声で返事をした。
たったそれだけのことだったが、俺はなぜだかとても嬉しかった。
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