がらくたと屑

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ああ、もう無理だ、ダルい。死にそう。 そんなネガティブなことが頭をぐるぐる回っていく。 バイトの新人がバッくれて、俺がその分の穴埋めをしなくちゃいけなくて。 自分の分のシフトと合わせて連続何時間勤務だ?もう考えるのもめんどくさくなるぐらい 長い時間仕事をして。 やっと仕事が終わったと思ったら朝の3時で。しかも次の日もシフトが入っているため いつもの時間に出勤しなければならない。 家に帰らず仕事場で寝てやろうと思ったが邪魔とのオーナーの一言で家に帰らされる羽目になり。 電車は動いていないため徒歩で二駅分帰らなくてはならなくなり。 世界のすべてに呪詛を吐きながら俺は家路についていた。 そして俺は、あのゴミ捨て場がある道を通っていた。 今の時間はいつもより早い。 そういえば最近また仕事が忙しくて会えてねえな。 あいつに会えないだろうかと少し期待しながら道を歩く。 するとあのゴミ捨て場に、盾兵はいた。 あいつの姿を見ただけで、俺の世界を呪ってやるという気持ちが一気になくなった。 現金なやつだな俺は、とひとりごちてあいつに駆け寄り、そして盾兵の顔を見て驚いた。 あいつはいつも通り、煙草を吸っていた。がその顔には青あざができており、 口の端は切れていた。 明らかに、誰かに殴られたような風貌だった。 「……どうしたんだよ。」 「…………‥」 盾兵は顔を顰めて、押し黙った。 いつもは待っていたら渋々といった感じで話してくれていたが、 今回に関してはそうでもないようだ。 まだまだ吸えるであろう長い煙草を携帯灰皿に押し付けてあいつは俺に背を向けて 歩き出した。 「まてよ!!」 俺はあいつの腕をつかむと、そう叫んだ。 朝っぱらから大声で近所迷惑かな、と一瞬思ったがそんなことどうでもいい。 あいつは振り向くと前髪の隙間から鋭い目で俺をにらみつけてきた。 いつもの眠たそうな目ではなく、眼力鋭く俺をにらむあいつは、 ……どこか泣きそうな顔をしている気がした。 「……どうしたよ。」 俺は落ち着いて盾兵に話しかける。 盾兵は俺のつかんだ手を放そうと無言で腕をぶんぶんと振り回すが そうはさせるかと俺は掴み続ける。 片手では厳しくなってきたので両手で掴み始めると 盾兵は諦めたような顔をして、またいつもの死んだような目に戻った。
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