1つ目。

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スヤスヤと眠る我が子を温かい眼差しで見守る私の母。 1夜限りの過ちで、行きずりの男との性行により出来た我が子。まだ一年にも満たない。 「堕ろしなさい!」 私が妊娠を告げると世間体を重んじる母は開口1番にそう怒鳴った。 私は頑なに拒否を続けた。その時は自身にしか感じられない母性。それ1点のみの理由で。 やがて産まれてきた我が子と初めて対面した分娩室にて泣きながらこの子を抱き締めた。 一応、母に連絡した。産んだ。と。 初めは口汚く罵り、娘である私を畜生呼ばわりしていた。絶縁もされた。 しかし、絶縁後に父が亡くなり同居中の兄嫁に煙たがられていた母は私に連絡を寄越した。 正直女手1つでこの子を育てられなかった私は押し切る母の言葉にやむを得ず了承し、母の待つ実家に住む事になった。土地家屋は母の名義であり姉嫁との確執を理由に母は兄夫婦を追い出した。 生活は楽になったが、昔から何かと兄と比べて蔑ろにされて来た実家に住むのは苦痛が、無かったと言えば嘘になる。それでもこの子の事を考えると耐えきれた。     
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