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そう下田代が口にした途端、がちゃと扉を開ける音がする。身のすくむ思いがした。もしもう少し早かったら、俺の恥ずかしい喘ぎ声のすべてが筒抜けだったかもしれないのだ。
「帰ってきたな」
下田代はいたずらを見つかったような顔をすると、あーあ、と言って俺の隣りに横たわった。
「大丈夫すよ、顔は見られないんだし。かわいい声だから」
「なにひとつ大丈夫じゃないだろ」
俺は軽く下田代の頭をはたく。それから思い直して、ぐりぐりと撫で、短い髪をかき混ぜた。
「何すんすか」
「別に」
俺の知らない彼の八年間は、想像するしかない。何がどうなって今みたいな彼になったのかはよくわからないけれど、でも健康で元気であってくれたらそれでいい。でもそんなことを口にしたら、また「おじさんみたい」と言われるのがわかっていたので俺は黙ったままでいた。
下田代は結構乱暴すね、と呟いて俺を恨みがましそうな顔で見る。
だけど俺はもう体力の限界だった。そのまま手を下田代の頭に置いたまま、ぱっと電気が消えるみたいに意識が眠りに引き込まれていく。
俺は久しぶりに、職場近くの公園に来ていた。
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