雨の日

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彼女が雨に濡れている。 僕のせいだ。 僕が彼女を捨てたから、彼女は雨に濡れている。 でも僕は、まったく罪悪感に苛まれることなく彼女に背を向けた。 昨日まで大好きだった彼女。 今は彼女に対して憎しみしかない。 彼女に裏切られた気持ちで僕の中がいっぱいだから。 もう二度と彼女の名前を口にすることはないだろう。 彼女と過ごした過去は消えなくても、彼女の記憶は消えていくだろう。 だって僕は二度と彼女を思い出さないから・・・。 彼女に遣ったお金は戻って来ない。 彼女に費やした時間も戻って来ない。 僕はバカだ。 彼女を好きになったりして・・・もっと女を見る目を養わなくてはならない。 ああ!そう気づかせてくれただけでも、彼女を好きになった価値はあったかもしれない。 でも彼女にはもう、なんの価値もない。 雨に濡れて彼女の顔がビショビショのグチャグチャになろうとも、誰かに踏んづけられようとも、最終的には燃やされようとも、僕は構わない。 「私、結婚します!」 彼女の報告は、僕を残酷な人間に変えたのだ。 ずっと大切にしていた彼女の写真集を雨の日に平気で捨てられるほどに・・・。 「私、結婚します!」 アイドルの結婚報告ほど、ファンを虚しくさせるものはない。 これから僕は僕を決して裏切らない女性を好きになるんだ。 三次元から二次元へ・・・新たな恋を探す僕の旅が始まる!!
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