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俺は世の中でゆうところの成功者だ。
金、地位、名誉全てを手に入れた。だが、なぜだ。何故こんなにも虚しい。どんなに金を使っても楽しくない。この虚しさはどうやったら埋められる。分からない。
ある日仕事場にいく時にホームレスがたむろしているのがみえた。どうやら昼間から酒を飲んでどんちゃん騒ぎしているようだ。ワイワイガヤガヤと人の目も気にせず仲間と楽しそうに飲んでいた。
それを見て俺は思ってしまった。
「羨ましい」
何故だ。何故あそこで昼間から仲間と酒を飲んでいるホームレスが羨ましいんだ。
あんな社会の底辺のどこが羨ましいんだ。
自分に言い聞かせる様にその場を去った。
仕事を済ませて帰ってる時、朝のことを思い出した。
「そういえばあのホームレスたち今どうしてるかな」
ホームレスたちがいた場所に行ってみた。そうするとそこに一人の老人が寝ていた。朝みたホームレスの一人だ。ちょっとした好奇心で俺は声をかけてみることにした
「あの、すみません」
「あぁなんだよ。あんただれ?」
ホームレスは眠たそうな目をこすりながら起き上がった。
「今日の朝ここで騒いでましたよね。それを見て僕あなた達を羨ましいと思ったんですよ。なんでだと思います?」
自分でも自分がおかしくなったんじゃないかと思った。何を突然聞いているんだ。しかもホームレスに羨ましいのは何故かときたもんだ。しかしホームレスは少しはにかんで言った。
「あるんだよなー、あんたみたいに高級そうなスーツに高級そうな時計をつけている奴が羨ましそうにこっちを見ている時が。そうだあんた今度一回俺らの飲み会に参加してみな。きっと答えが見つかるぜ」
老人がボロボロの歯を見せて笑いかけた。
「分かりました。次いつやるんですか」
俺は老人の笑みが少しカチンときた。それは自分だけが答えを知らず周りがどうしてわからないのかときいてくる小学生時代の記憶が蘇ってきたからだ。
「明日の夜。場所はここだ。時間は好きな時に来な」
そうして俺は再び家に向かって歩き出した
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