立ちくらみ 180904

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この話は生命の起源の話にも似ている。栄養素の入った海というスープの中で生命が生まれたとされている。そんなことがあるか。栄養素のスープをどう掻き混ぜたら生命が生まれるというのか。重力も、生命も、偶然からは生まれない。偶然はただ乱雑さを増大させるだけだ。増大した乱雑さは偶然に減少して整ったりしない。散らかった机は偶然に整理整頓されたりしない。偶然は机の上を散らかす方向にしか進まない。これが自然の法則だ。しかし。重力も生命も事の発端では乱雑さが減少している。小石の集まりが乱雑さを減少させて丸い形状の惑星に整っていく。栄養素の集まりが乱雑さを減少させて生命という単位に整っていく。それはおかしい。自然の法則に反している。神。この言葉を使いたくないのだが。このような自然の法則に反する現象を発生させる意志。それを神と呼ぶかどうかは別として。意志が事の発端を作ったのだ。もしくは、思い、と言い換えてもいい。創造。そうか。創造か。まさにこの単語がふさわしいではないか。重力は創造から生まれた。そこまで考えて、私は催したことに気付く。トイレに行かなくてはならない。コーヒーの飲み過ぎ。私の意志が私の全身に伝わって、重力に逆らって乱雑さを減少させ、私は椅子から立ち上った。クラッ。
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