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3回目。
東京ディズニーランド。
いよいよ、私はディズニーランドで迷子になることに成功した。
どうなっちゃうんだろう。今後の展開を想像してクラクラし、キャストのお姉さんに手を引かれながらちょっと失神しそうになった。
いよいよ私の名前が全ディズニーランド中に流れるのだ。そして全ディズニーランド中の観客の視線が私に集まり、その中で私はお父さんと劇的な再会を果たす。
割れんばかりの拍手。溢れんばかりの歓声。
私はおしっこちびりそうになりながら、迷子センターに着いた。
と。
そこには。
子供の列。順番待ちだ。
流れ作業のように次から次へと迷子が親に手渡されていく。名前を呼ばれもしない。
私は列の後ろに並んだ。しょんぼりだ。しょんぼりしながらお父さんを待った。
しばらくして、もちろん、お父さんは来てくれた。私を助けに来てくれた。
「美樹」力強くそう言って抱き上げてくれた。
拍手は無かった。歓声も無かった。
でも、お父さんのほっぺと髭は変わらず私を歓迎してくれた。
うれしかった。
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