ひき逃げ 180913

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途中田舎道に煌々と光るセブンイレブンを発見し、その20m手前でメルセデスを停めた。入り口外側に設置された燃えないゴミのゴミ箱にカメラとSDカードの破片を捨てる。コードは林の中へ投げ入れる。喫煙所で煙草を一服。深夜2時になっていた。男は少しだけ疲労を感じた。しかし、もう少しだ。次の行き先はガソリンスタンド。普段利用しない郊外にある24時間営業でセルフ方式のスタンドを選んだ。人はいない。脇にある自動洗車機にメルセデスを入れる。洗車が始まった。洗車機のダクトに吸い込まれていく水に赤い血が混じっていたが、誰も気付かないだろう。ここまで、誰にも見られていない。どの防犯カメラにも、どのドライブレコーダーにも映っていない筈だ。現場に残ったかも知れない破片は、希少車でない限り証拠にならないだろう。唯一気がかりなのは被害者に意識があって目撃情報を証言することだ。しかしあの状況では、それもほぼ無いと言っていいだろう。ま、一か八かだな。呟いて、男は洗車が終わるまで車内で少しまどろむことに決めた。
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