1億年の時を超えて

第一章 出会い

　実はな、ワシも少し前に1つのメモリースフィアを見つけて、内容を見てみたのじゃよ。
　それには2170年の出来事が記憶されておった。

　2222年以前の歴史は謎じゃったから、それ以前の出来事が記録されているメモリースフィアは非常に貴重なものなのじゃよ。

　このメモリースフィアで分かったことは、2170年にランドル王国によってマナが発見され、マナ研究所が設立されたということじゃ。

　マナというのはお前も習ったとは思うが、魔法を使う上で必要な大気中に含まれているエネルギーのようなものじゃ。マナがなければ魔法は使えんし、生物は生きていくことすらできなくなる。

　そんな貴重なマナが発見されたのが、2170年だったというわけじゃ。

　その後はマナ研究所によって、マナの応用技術である魔法が研究されることになったのじゃが、実際に使えるようになったのはもっと先のこと。
　2170年以前の人々は魔法を使うことは出来ず、存在すら知らなかったじゃろう。
　ということは、2170年以前は魔王などという存在もいなかったということじゃ。

　つまり、魔王が初めて現れたのは間違いなく2222年だということになる。

　わしはマナの発見と魔法の研究が、魔王の存在と何らかの関係があるのではないかと睨んでおるのじゃ。

　2222年以前に何があったのかを知ることが出来れば、魔王が生まれた理由が分かるかも知れん。

　最初の魔王が生まれた理由を知ることが出来れば、500年周期で新しい魔王が現れないようにすることも出来るのではないかと考えておるのじゃ。

　本来なら、わしが世界中を旅して歴史の謎を解明したいのじゃが、さすがにこの年では難しくてのう。

じゃからリュートよ。お前が大人になった時、わしに代わって世界の歴史の謎を解き明かすのじゃ。

　それが魔王という存在を完全に消滅させることに繋がり、次に現れる新しい勇者の助けとなるかも知れないからのう。

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　そして、リュートは祖父から譲り受けた2170年のメモリースフィアと、自身が見つけた3722年のメモリースフィアを持って、その他の歴史の謎を解明する旅に出るのであった。