序章

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―――――――――――― メモリースフィアの記憶 アステア歴3722年 ―――――――――――― 「魔王! とうとう追い詰めたぞ!」 「ランドル王国の勇者アレフと、賢者レイナか。そろそろ来るだろうと思っていたぞ」 「アレフ、気を付けて。魔王は不思議な魔法を使うと聞いたわ」 「あぁ。だが俺は負けない! 世界を救う為に、魔王を倒す!」 「世界を救う為……か。我を倒せば世界が救われると思っているのか?」 「当たり前だ! お前たち魔族は人間の町や村を襲って人々を苦しめている。だからお前を倒せば、世界は平和になるんだ!」 「はっはっは! 結局は貴様らも同じか。何も知らずランドルに利用されている。まさに道化だな」 「何が言いたい!?」 「これから死にゆく者に話したところで意味はない」 「ふざけるな! 喰らえ! 光魔法“シャイニングスフィア”」 「ほう。光の上級魔法を使えるのか。さすがは勇者と言われるだけのことはある。だが……」  魔王が放った闇魔法が勇者の光魔法を相殺する。 「な、俺の最高の魔法が効かない!?」 「闇の上級魔法“カオスティックスフィア” この力は光の上級魔法と対を為す。魔力が強ければ強いほど威力は増すのだが、どうやら我と貴様の魔力は互角だったようだな」 「だったら剣で勝負だ!」  勇者は両手で大剣を抱えて切りかかるが、魔王はひらりと交わしてしまう。 「生憎、我は剣が苦手でね。別の魔法を使わせてもらうぞ」  そう言うと、魔王は勇者たちが今まで聞いたこともないような不気味な詠唱を始める。 「な、なんなのよ……この魔力……」  今まで感じたことのない魔力に対して賢者が恐れおののく。 「喰らうが良い。これが魔王と呼ばれる我の力だ。“ペインメモリー”」 「アレフ! 危ない!」  咄嗟に賢者が勇者を庇い、魔王から放たれた魔法をもろに喰らってしまう。
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