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暗号の解読
「佳乃子の髪が乱れてる」
「なによそれ」
つい遊飛が気になったことを言うと、佳乃子は怒りながらも、さっき掻きむしった髪をセットし直した。
可愛いのに怒りっぽい。そしてメガネを外すと美人でもある。
遊飛は父の居場所と佳乃子の事は後回しにして、その暗号に集中した。
最初の[△ × □] の図形。
「△は八咫烏の三本の足?」
「私も父も最初はそう思ったんだけど」
八咫烏の三本の足は天と地と人を差し、結界を張る時に鳥族が使用する場合が多い。その為、鳥族のシンボルにもなっていた。
「確かに鳥族は△。地族を□で表す場合がある。四角は天と地と人と死を意味し、地族は更に強いと云うのだ」
伯父和樹がそう説明したが、真ん中のバツ印の意味が不明だと言った。その謎が解けないと△も□も意味を成さない。
「でもなんで憲司さんは闇の迷宮から伝言ゲームをなさるのでしょうか?」
「お母さん。暗号を使うのはスパイがいるからだよ」
佳乃子がイライラしながらそう言ったが、伯母さんは気にしてない。呆れ返ってそんな事よりもお茶の準備をし始めた。
テーブルに行き、ティーポットにお湯を注ぎ入れる。
「まったく貴方達は難しく考え過ぎなんですよ」
「スパイの事は後で私から説明する。その前にこの課題を早くクリアしなければいけない」
伯父さんが眉間にしわを寄せてそう言った時、ふと遊飛はある考えが閃いた。それはバツ印ではなく数式ではないか。
「そうか。それはカケればいいんじゃないですか?」
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