暗号の解読

1/4

97人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ

暗号の解読

「佳乃子の髪が乱れてる」 「なによそれ」  つい遊飛が気になったことを言うと、佳乃子は怒りながらも、さっき掻きむしった髪をセットし直した。  可愛いのに怒りっぽい。そしてメガネを外すと美人でもある。  遊飛は父の居場所と佳乃子の事は後回しにして、その暗号に集中した。 最初の[△ × □] の図形。 「△は八咫烏の三本の足?」 「私も父も最初はそう思ったんだけど」  八咫烏の三本の足は天と地と人を差し、結界を張る時に鳥族が使用する場合が多い。その為、鳥族のシンボルにもなっていた。 「確かに鳥族は△。地族を□で表す場合がある。四角は天と地と人と死を意味し、地族は更に強いと云うのだ」  伯父和樹がそう説明したが、真ん中のバツ印の意味が不明だと言った。その謎が解けないと△も□も意味を成さない。 「でもなんで憲司さんは闇の迷宮から伝言ゲームをなさるのでしょうか?」 「お母さん。暗号を使うのはスパイがいるからだよ」  佳乃子がイライラしながらそう言ったが、伯母さんは気にしてない。呆れ返ってそんな事よりもお茶の準備をし始めた。  テーブルに行き、ティーポットにお湯を注ぎ入れる。 「まったく貴方達は難しく考え過ぎなんですよ」 「スパイの事は後で私から説明する。その前にこの課題を早くクリアしなければいけない」  伯父さんが眉間にしわを寄せてそう言った時、ふと遊飛はある考えが閃いた。それはバツ印ではなく数式ではないか。 「そうか。それはカケればいいんじゃないですか?」
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加