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「ちょっと待ってて」
佳乃子がそう言って壁の本棚に近付いた。そして端っこの本をズラして奥のスイッチを押すと、本棚がスライドして秘密の隠し部屋が現れた。
そこはクローゼットくらいのスペースしかないが、鳥族についての秘蔵の書物が置かれている。
佳乃子はその本棚の中から小冊子を探し出すと小走りに戻って来た。
「コレにcomponentの事が書いてある。遊飛、後で読んでおきなさい」
先生の表情になった佳乃子はそう言ってその小冊子を渡した。薄くてすぐに読めそうだったので、遊飛は文句も言わずに受け取った。
「一つ解けたのだから、次はお茶飲みながらにしましょう」
伯母さんがそう言って、ティーカップに紅茶を入れて渡した。
遊飛はその香りと焼菓子の食欲に誘われて黒革のソファに座り、iPhoneと小冊子はテーブルの上に置く。
「そうですね。さっきの、伯母さんのヒントでわかったんですよ」
「ああ、単純にねでしょ?」
「はい。次の暗号のヒントももらえませんか?」
「ちょっと君たち、調子に乗り過ぎなんじゃない」
佳乃子がそんなクレームを言ったが、伯母さんは伯父さんと佳乃子にティーカップを手渡し、自分のカップも持ちながら次の暗号を見る。
[N F S T O R D A ] の英文字。
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