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日本全体の古地図が幾つもの区画に分けられて記号が付けられていた。
[NJ-54-33-12 ] はその地図の位置を表す記号だったのだ。
その全体図より、[NJ-54-33-12 ] の位置へズームアップしてその部分の区画画面になるり詳細な地図が現れた。
そして羽根はクルクルと廻りながら縮小してその地図の中に入って、地図のアイコンに収まっている。
まるでGoogleマップの方向を示す矢印のように羽根がコンパスになっていた。
「これは何なんだ?」
「どうやら、宝探しのマップのようね」
遊飛の問いに、佳乃子が悪戯っぽく微笑んでいる。珍しく可愛子ぶってるが、遊飛はクールに対応した。
「埋蔵金探しなら断るよ。そんな暇じゃないし」
そして伯父さんと佳乃子が真剣な表情をして隠し部屋へ行き何か相談し始めると、それは突然に起こった。
デスクの上の地図が突然消えたのである。
「あーっ??」
紅茶を飲みクッキーを齧っていた遊飛と伯母さんがそれに気付いて声を上げ、佳乃子と伯父さんも何事かと驚いて見に来る。
「どうしたの?」
「地図が消えた」
そして茫然としている遊飛と伯母さんに佳乃子が微笑んで、紅茶セットの置いてあるテーブルの方を指差した。
伯父さんもにこやかに笑っている。
「大丈夫よ」
それは遊飛のiPhone に転送されたのである。遊飛はそれを手に取ってその地図の画面を伯母さんに見せて笑った。
父が送ったメッセージが遊飛の手の中にある。
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