MOLESのスパイ

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「委員会のメンバーも根性ないすね?」 「七年前の事件に怯えてるのさ。鷹野憲司は情報局員の中でもレジェンドだったからな」 「鷹野憲司が嫌疑をおっ被せられたんでしょ?」 「ああ、平和協定の規則を破った証拠が見つかったんだ」 「罠にハマったんすよね」  豪太がそう言って、同情の笑みを見せた。影人は少々うんざりして煙草に火をつけ、政治的な暗躍は好きでは無いと心の中で呟く。  そして再び鳥族との戦いが始まるのかと煙を吸い込み、その血生臭い甘美な計画に尻の辺りがムズムズした。  秘密結社「MOLES」は密かに鳥族を倒し、地族のメンバーだけで世界を動かそうと計画している。  それに気付いた鷹野憲司は統括委員会に提訴しようとしたが、逆に証拠を捏造されて抹殺の命令が下された。 『あれは壮絶な攻撃だった……』  それに使用された武器が地族が地の底に埋めた筈の破壊兵器だった。  影人は黒い雲の船が撮影した映像を見ていたが、一家族を破壊兵器で襲うなんてえげつなさ過ぎると思った。  (イニシエ)から戦い続けた黄金の鳥族と暗黒の地族は、ある戦いを最後に平和協定を結び、統括委員会が設置されて、各国の鳥族と地族から選出された委員により平和が維持されて来たのだ。  最後の戦いとは第二次世界大戦の事であり、原子爆弾という破滅的武器に脅威を感じ、魂の能力を封印したと云われている。 (地族の者が原子爆弾を落としたと噂されたが、実証が無く真実は明らかになってない。)  秘密結社「MOLES」は鳥族のコンポーネントを奪って、その魂の力で鳥族を抹消しようと暗躍していた。
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