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「鳥影がさっきから舞ってる」
「結界が破られたってことか?」
「そんなの信じてるからダメなの」
「嫌だ。この子ったら」
伯母さんは生意気な娘を一瞥して、夫に意見を求めたがそれは逆効果だった。この時点でも佳乃子は父親よりも実質的には才能があったのである。
「佳乃子の言う通りかも知れない」
「えっ?なによお父さんまで。そりゃ私には何も分かりませんけどね」
伯母さんはこの家族に嫁いだので、その血筋ではない。もちろんこれは遺伝子の問題だけではなく、想像力と理解力の問題なのだが。
『飛ばせる能力があるか?』
遊飛は全身に力を込めて上空の黒い影を睨んだ。まだ何のパワーも無かったが、許せなかったのである。
「コイツらがお母さんを殺したんですか?」
竹林の隙間の空を飛び交う薄っぺらい鳥影と戦うつもりでそう聞く。
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