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「バカね。コイツらじゃないよ。でも、しっかり見えてんだ?」
佳乃子は「ふーん」と遊飛に哀しげな眼差しを向けて感心している。遊飛と佳乃子にはそれがさっきからずっと見えていた。
伯父さんもやっと気付いて、眼鏡をかけ直して空を睨んでいる。
「鳥影は魂の死者みたいなもんだ」
これは遊飛が後で教えてもらった事だが、鳥影は闇に落ちた彷徨える鳥らしい。黒いエネルギーがプリズムみたいに空の光で影を作っている。
「君を襲ったのはこんな下っ端じゃない。もっと強い」
「佳乃子」
それ以上は言うんじゃないと伯父さんが娘を嗜め、伯母さんも呆れた表情で歩き出したが、佳乃子は立ち止まったまま先を続けた。
「もっと、真っ黒で強大なのがいる。だから、ユウヒはもっと強くならなきゃいけない。最強のソウルバードを飛ばせるようにね」
そう言った時、薄っぺらい鳥影が竹林の空を覆ったが、佳乃子の胸の辺りがボワッと輝いて、それがフワッと飛び立つと空の鳥影を一瞬で追い払った。
遊飛はそれを見て、佳乃子を教師としてと認めるしかないと思った。生意気で屁理屈ばっかり言うが、これから佳乃子は自分のお姉さんになるんだ。
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