蔑視 180914

3/5
前へ
/5ページ
次へ
テシネ村長(ボリナオ語で):  わかりました。私に任せてください。まず私の家を紹介しましょう。あそこにあるのが私の家です。あのレンガ作りの家です。アンテナが立っていますね? あの家。私がこの村で一番の金持ちですので。この前アメリカ人が来て取材対応したのですが、お礼に何が欲しいかって聞かれたのです。その時小さなテレビが見えたので、あれが欲しいって言ってみたのです。そしたらびっくり。そのテレビをくれたのです。なので、アンテナを買ってきて、立ててみました。そしたらまたびっくり。映っちゃったんです。テレビ。マニラの電波が入ったみたいで。え? 何? こっちじゃない? あっち? あっちの家は出稼ぎに行ったまま帰ってこない人の家ですよ。空き家です。行ってみます? いいですけど。あ、これうちの孫娘です。かわいいでしょう。おいでおいで。テレビ局の人だよ。日本から来たんだって。え? 孫娘のこのTシャツ、駄目ですか? なんで? ミッキーですよ。知らないですか? ユニクロですよ。良いと思いませんか? 安いですし。駄目? うーん。もっと違う服ですか? あったかなあ。脱がすって? 裸? そりゃまずいですよ。いくら子供でも。金? くれるのですか? じゃいいですけど。服脱がして。で、空き家で撮るのですか? ご飯作ってるとこですか? 電気釜ありますよ。違う? うん。バナナバナナって。昔はバナナの皮に包んで焼いてたこともありましたけど。その作り方もう私もわかんないですよ。やってみる? いいですけど。バナナの皮あるんですか? ほう。お米もある? ほう。じゃやってみますか。空き家で。ぼろいですよ。言っときますけど。いいのですか?
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加