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あかし★
ふと壁掛け時計に目をやると、九時を過ぎていた。頭がぼやけて、一瞬朝なのか夜なのかも分からなかったが、カーテンの隙間から差しこむ光が朝を告げている。
福島は左手で目をこすった。右腕はアズマの枕になっており、動かせない。いつの間にベッドに移動したのか、それすらよく覚えていなかった。二人とも一糸まとわぬ姿で、なにもかけず身体を絡ませあっているということは、行為の最中に寝てしまったのかも知れない。
ただれた朝。何度身体を繋ぎあったのか。なにも考えずセックスに没頭したかったのは、二人とも同じだったらしい。こんな時にと思っても、止められなかった。
鼻をつく、情事の名残。べたつく肌。眠るアズマはうっすら笑みを浮かべ、口元に乾いた白いものがこびりついている。
そのかさついた唇に、やはりかさついている唇をそっと重ねる。舌で唇を割ろうとすると、唇が開いて舌が絡んできた。ドキリとすると同時に遠慮はいらないと分かり、アズマの唇を貪る。
「止まんなくなっちゃったね」
息を弾ませながら、アズマは福島の右手を自分の最奥へと導く。すげえ、と思わず福島はうめくように言った。何度も福島を受け入れたそこは、待ち構えていたかのようにするりと指を飲みこみ、締めつける。
「さすがの俺でも、こんなになるまでヤったことないよ」
アズマも完全に理性のたがが外れているようだ。福島の指で自慰をするかのように腰を揺らし、つややかな吐息を漏らす。
「ねえ、これなら大丈夫だからバックで突いてよ」
指に絡みついてくるアズマの内部に、福島は目がくらんだ。今はただ、快楽に溺れていたい。いつもどこかで冷静な自分も捨てたい。
「ほら、早く」
少しかすれた、アズマの声。指を抜くと、アズマが小さくせつなげな声を上げた。枕の横にいくつか転がる空のパッケージを手で払って床に落とし、未開封のゴムをつまみ上げる。ゴムをつけ、うつ伏せで待っているアズマの身体をゆっくり貫く。
「ああっ……!」
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