ある休日

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「マジ!? やりたい盛りのガキじゃあるまいし……」  福島の瞳にほんの一瞬、怒りといたわりが浮かぶ。いざという時により大人の男らしくあれるのは、きっと福島の方だろうとアズマは思う。  少し物事に距離を置いて眺めているからだ。坂上は逆に、食いこむ勢いで肉薄する。時には秘めたたかぶりが言動を狂わせる。  ひどいヤツだなとだけつぶやいて、福島はそれ以上その話には深入りせず、ぶっちゃけ抱かれてて気持ちいいのはどっち、と聞いた。 「俺でしょ? じっくり時間かけてあげてるし」  福島の瞳に、くらい鋭さがよぎった。それは男としての、所有欲と自信だったかも知れない。 「珍しいね、そんなこと聞いてくるなんて」  アズマは座ったまま後ろにひっくり返って、肘枕でベッドに横になった。 「だってあいつには聞けないもん。なんにも知らないだけ、あいつの方が気楽だよなあ。独占できてると思いこんでる」  一瞬輝きを見せた鋭さに、アズマはただ微笑んだ。微笑みは福島の影に覆われ、かすかにベッドがきしむ。  福島の目に映る坂上との関係が、アズマには少し意外だった。福島の育ちのよさがそうさせるのかも知れない。同時に、確かに一面を捉えてもいる。それならそう思わせておいた方がいい。 「ずるいよね、アズマさんは。手玉に取られてるもん、俺達」  でも俺、それでも幸せだなあ、とのんびりした声。子供をあやすように、アズマの頭をなでる福島。 「……メシにしようか」  つぶやきは、福島の手でまたベッドに縫い止められた。
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