抜擢 180921

2/3

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
俺はルリ子に振られた。振られたんだよ。全力で愛した女に。全てを懸けた女にだよ。一緒に死んでっていうから死のうとした訳じゃん? で、やっぱ死ぬのやめたとかさ。そりゃねえじゃん。そりゃねえぜセニョールじゃん。死ぬんだよ。男に二言はねえんだよ。死ぬの。死ぬと言ったら死ぬの。なのに何? やっぱ死ねない、って何? わたしやっぱ死ねない。だってまだ楽しいこと沢山あると思う。とか何? 楽しい事もう無いから一緒に死ぬって決めた訳じゃん。それを何? 死ねない? わたしやっぱ死ねない? あのなあ。そういうのをなあ。裏切りって言うんだよ、世間ではなあ、そういうのを裏切りって言うの。だから俺は死んだんじゃん。俺は裏切らなかったんじゃん。俺は勇気をもって、一人で、ダンプに飛び込んで、轢かれたんじゃん。それで気付いたら改造人間だよ。何? バッタ? しらねえよ。抜擢された? しらねえって。世界平和のため? は? それが何? 何の動機? 生まれ変わって正義のため? は? 何の理屈? まったくわからねえ。という訳で今度は確実に死ぬから。あと1分。のぞみ号走ってくるから。時速260kmよ。いくら改造人間でも粉々よ。エマージェンシーコントロール? やってみなよ。Wi-Fi切ったから。通信できないよ。やってみなよ。できるもんなら。あんたらの言う通りにはならねえんだよ。思い知れよ。あ、来たよ。のぞみ号。じゃな。あばよ。 ライダー、キーック!!! あれ何だよライダーキックって。これ自動設定かよ。自動でライダーキックかよ。のぞみ号へこんじゃったじゃん。これ弁償するの大変じゃね? えー? だから働け? まじか。まじかよ。勘弁しろよ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加