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俺のした復讐は結果的に早紀を殺したも同然だった。
早紀も後悔しか無い人生だっただろう。
何がいけなかったのか。
どうしてこんなことになってしまったのか。
佐野はクソ野郎だけど、奴だけの責任では無い気がした。
そして人間の恐ろしさを垣間見た。
俺も早紀も狂気の中に身を転じて、それぞれの人生を台無しにした。
こんなことは繰り返してはいけない。
早紀の分も立派に芽衣を育て上げる。
それが俺に出来る早紀への弔いだ。
いつか芽衣からも母親のことを聞かれるだろう。
その時はこの日記を見せようと思う。
人は非情にもなれるが、本質的には愛に満ち溢れていることを。
芽衣の母親はこんなにも君への愛に満ち溢れていたことを。
『毎晩、三人で行ったディズニーランドを思い出して寝ています。おやすみなさい良ちゃん、芽衣ちゃん』
仏壇には在りし日の三人が微笑んでいた。
了
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