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数日後、弁護士事務所で俺と佐野、早紀、弁護士の4者面談をした。
「こんなに払えません! 分割は可能でしょうか?」
必死な形相で懇願する佐野の様を見ると気持ちよかったな。
「車買うんじゃないんだから。何だよ分割って」
「そんなぁ、ムリですよ!」
「だったら人の嫁を寝盗るなんてこと始めからするんじゃねぇ!」
「・・・!」
「その覚悟があって、やっていたんだろ? 違うか?!」
早紀は佐野の横で俯いている。
(何で佐野の横なんだよ!)
と、あの時は早紀に対しても憎しみしか無かった。
「まぁ及川さん、落ち着いてください」
弁護士が俺をなだめた。これも俺達の作戦だったんだがな。
「佐野さん。慰謝料はあくまで示談金です。それに応じないことも可能なんですよ」
「え? 本当ですか?!」
あの時の佐野の顔を見た時は吹きそうになったな。
「ただし、その場合、法廷での話し合いとなります。それには期間と別に料金も掛ります。あなたも弁護士を雇わなければなりませんから。何度も会社を休むか抜けるかして出廷しなければなりませんし、ここまで証拠を固められては勝つ事はありません。あなたに付く弁護士もいるかどうか・・・」
「えええ・・・」
震える佐野。しかし早紀は下を向いたままだった。
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