東京ノスタルジア

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 ドン・キホーテでアダルトグッズを物色し(新作TENGAの回転ギミックには心底驚かされた)バスタ新宿から夜行バスで福島駅西口へと向かう。長くて短い、濃密な二日間だった。今度来るときは河童橋でキッチン用具を買って、浅草で安酒昼呑みをやろう。窓ガラスにたたきつける強い雨。街の明かりを滲ませてしまって、なんだか名残惜しい気分になる。  突然決まった東京遠征だったが、存外楽しめた。金さえ工面できればまた行きたいと思っている。新書にあるような廃れ往く日本の象徴ではなく、巨大なエネルギーがうごめく経済と文化の中心地として、東京を楽しめたと思う。  一か月前にbacknumberのライブついでに池袋で飲んだ時は、人込みさえなければいいのにと思っていた。スマホの画面をのぞき込んで、誰かとあいさつを交わすということは起こりえない。ひたすらに忙しく、行きかう人ごみの中のひとりにしかなれず、そして誰もが自分以外を風景の一部として扱うような無愛想さにうんざりした。だが、今回は違う感想を持った。そんな無愛想さにさえも、一種のノスタルジーを感じているのである。狭い空間を無理やりに押し広げて、そこを意味と忙しさで埋め尽くした街、東京。原宿から渋谷に移動するだけで、街行く人の服装や雰囲気が変化したのをふと思い出す。 くるりの「琥珀色の街、上海蟹の朝」は、大都市を懐かしみ、そこから少しずつ離れていくことを歌っている。私も私の生活へと戻っていく。時代は目まぐるしく変化していくから、東京も変わっていく。いずれ、「昔はこんなこともあったねえ」と思う日が来るだろう。 その日まで、大都市への憧れと興味を微かに抱いて。
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