東京ノスタルジア

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 いきなり東京に行ってきた。めちゃくちゃ楽しかったので、備忘録的にここに記しておくとする。  東京入り一週間前、友達が髪を切りに行くついでにいっしょに来ないかという話になった。以下は、その時までの東京の印象。  最初にパッと浮かぶのは、新書でよく取り扱われる都市としてのシンボル性。地方と対比される形でよく描かれる東京はおよそ魅力的なものではなく、ただひたすらに(ニーチェ的な意味で)大衆迎合的で、広告や欲望、意味や秩序が氾濫した空間の中で、忙殺され、時代に盲従し続ける、愚かしい人々の住まう社会。言いすぎると、こんな感じであろうか。日本の最先端であるからどうしても批判対象になることは避けられず、ネガティブなイメージが付きまとう。  反対にポジティブなイメージもある。東京はよく音楽のテーマになるから、やはり魅力にあふれたスペクタクルな空間なのだろうか。飲み屋、風俗、出会い、交通、音楽、イメージ、芸術、価値、などなど。たくさんのものが、狭い23区の中にひしめき合っていて、強烈なほどの利便性を土台に挑戦的な営みを為し、それをし続けるだけのパワーがある。これはたしかに人を惹きつける。  東京に行って何をしたいかと言われて思いついたのは、どこか知らない飲み屋にふらっと入ってみることと、本場の風俗を味わってみることだけだった。他のことは友達にほとんどお任せ。複数人で旅行するメリットである。  スケジュールは以下の通り。  一日目の午後に東京入りして、鶯谷で風俗を体験し、カプセルホテルに泊まり、二日目は朝早くから築地市場に行き、原宿を練り歩き、表参道方面の根津美術館でうつらうつらし、秋葉原の電気街で異文化に触れ、新宿のイタリアンレストランにて田舎者丸出しで騒ぎ、ドン・キホーテで新しいTENGAに驚き、バスタ新宿から夜バスで帰る。長いような短いような、濃密な二日間だった。
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