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きっと、この想いを伝えることはないのだろうと、私は思っていました。
「でも、華ちゃん。萩山君って、これまで彼女がいたことないんだよ」
「え? そうなの?」
「うん。告白なんて、何回もされているはずだし、この間も、風間先輩が告白したけれど、ふっちゃったらしいよ」
「風間先輩でも、ダメなんだ……」
三年生の風間先輩といえば、この学校の三大美女に数えられるほどの美人です。
そんな風間先輩でもふられた思うと、ますます私なんかでは無理だろうと、もはや諦める以外の選択肢は、私には残されていません。
それにしても、萩山君と付き合う女子って、一体どんな女の子なのでしょう。
私には、一人だけ思い浮かぶ人物がいました。
天上もえ。
彼女も三大美女の一人であり、萩山君といつも一緒にいるクラスメイトです。
「それにしても……」
それにしても、お似合いの二人です。
映画の主人公とヒロインのように、この世界はまるで、二人のためだけにあって、二人を中心に世界は回っているのでは――と、思ってしまうほどです。
私は所詮、脇を固めるクラスメイトEでしかないのでしょうが、不思議と嫌な気持ちはしません。
それほどまでに、二人はお似合いで、私が二人の間に入る余地などまったくないからです。
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