気になる人

3/5
前へ
/6ページ
次へ
 大きすぎる戦力は、もはや笑うしかなく、私はただ、ため息をつくことしかでしませんでした。  「おーい、ホームルームを始めるぞ」  教室に先生が入って来て、午後のホームルームが始まりました。  「――以上で終わるが、日直は明日配るプリントの準備をお願いしたい。確か、今日の日直は萩山と――」  「先生! すみませんが、私この後部活で、無理です!」  「倉敷は、ソフトボール部だったな。確かに、試合前の大事な時期だしな……。誰か、変わってやってくれないか?」  私は部活動に参加していないので、放課後は何の予定もありませんでした。萩山君と二人っきりになれるとなれば、手を上げたいのですが、恥ずかしくて手を上げられずにいました。  しかし、意外なことに先生が、助け船を出してくれたのでした。  「奥崎は、確か部活に入っていなかったよな? 奥崎、頼めるか?」  「は、はい! 私に任せてください!」  「……よ、よろしく頼むよ」  嬉しさを隠すあまり、声が裏返ってしまいました。  目立つことが好きではない私は、周囲のクスクスと笑う声に、紅くなっている顔を悟られないように、下を向いていました。  「それじゃあ、今日は終わる。日直」  「起立――」  挨拶が終わり、クラスメイトは足早に教室から、一人二人と出て行きました。     
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加