第一章 ロビタの困惑

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〔登場人物(とロボット)〕 ロビタ…(年令不詳)家事一般小間使いロボット 主人…(40位)男性。ロビタの主人 マサト…(25位)七夕に現れた幻の(?)青年 ミキ…(23位)マサトの恋人 ナレーター…(30位)女性 M(テーマミュージック) ナレーター「時は2050年、東京は下町に建つマンションの一室で、小間使いロボットのロビタ君がいそがしげに立ち働いています。限りなく人間に近く、二本足歩行など当たりまえの最新型ロボットと比べれば、いまだ車輪で動きまわり、小型でずんどうの、頭部もプラスティック・ドーム型でしかないロビタなどは、遠の昔にお払い箱になっていていいはずの代物、旧型ロボットでしかありませんでした。しかるにここの主人始め少なからぬ数の人々が、最新型ロボット、もしくはヒューマノイドなど求めずに、このロビタ型ロボットを購入しては親しげに使っています……それにはわけがありました。実はこのロビタ、ロボットのくせにちっともロボットらしくないのです。インプットされたプログラムゆえとはとても思えない、思いやりや、やさしさや、気づかいに充ちていて、それでいながら時に云い返したりも、すねてもみせる……そんなロボットらしからぬところが、もうすっかりA1コンピュータに制御されていて、無味乾燥で機能本位な社会に住む人々にとっては魅力だった……どころか、ハッキリとひとつの救いなのでした。さて、そんなロビタ君の生活ぶりをちょっと覗いてみましょう。今日は七夕でロビタ君のご主人はなぜか朝からそわそわとしています。ロビタ君の心中……いや、もとい、コンピュータ頭脳の中で彼が、あるいは彼女が?なにを思っているのか、ロビタ君自身のモノローグとして皆様にお聞かせもしましょうね。では……」 M(ミュージック)ブリッジとして
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