第一章 ロビタの困惑

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主人「ロビタ!食事をつくっておくれ」 ロビタ「はい、ご主人様」 主人「ロビタ、掃除をしなさい」 主人「はい、ご主人様」 ロビタ(M)『ピー(心中で?常時発するロビタの声)、今日も今日とてまめまめしく働くわれロビタ。我が頭脳、コンピュータにプログラムされしメモリー、家事一般メイド役としての諸事もろもろで充たされたり。それと関わりもなき空事のたぐい、これいっさい、われの関するものにあらず。しかるに……』 ミキ「マサト、マサトはどこなの?あなたはどこにいるの?」 マサト「ミキ、どこだ。きみはどこに行ってしまったんだ?ミキ、きみに会いたい……」 ロビタ『ピー、この人間と思しき一対の声、七夕なる今日の朝よりしきりに我が頭脳にひびきわたる。これなんぞや?仕組まれたるプログラムゆえとは思えず。いずれ我がご主人様のテレビ鑑賞などの折り、はからずも記憶したるものか。定かならずも耳に憂ざたきこと限りなし。我が勤めの邪魔すな……』 主人「ロビタや、ちょっと出かけてくる」 ロビタ「はい、ご主人様、お出かけですね。行ってらっしゃいませ。お帰りは何時ごろに?」 主人「そうだなあ、何時になるか……今晩はこれから七夕のお見合いパーティだ。うまく相手が見つかれば遅くなるし……ふられればすぐに帰って来るよ」 ロビタ「さようでございますか。よい御首尾を。お帰りまでに掃除を終え、夜食等もろもろをしつらえておきます」 主人「ああ、ありがとう。じゃ行ってくるよ」 ロビタ「あ、ちょっと。ネクタイが曲がっています……これでよしと。さあ、ご主人様、はりきって!」 主人「おいおい、よせよ。日の丸なんかふるなよ。いったいどっからそんなもの取り出したんだ?……これで何回目のお見合いだと思っている、すぐに戻ってくるさ。じゃあな」 【家事用ロボットにして執事、且つ、一番大事な「ハート」も持つロビタ君】aa263bae-de6e-4882-a2be-5a87e6278d34
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