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主人の出て行く音。ドアの開閉、靴音等。
ロビタ(M)『ピー、ご主人お出かけせり(ため息)哀れなるかな、ご主人の独身生活実に久しかり。思うにあのご面相、鼻大きく、目鼻立ちのバランスくずれたること、また太りし身体ともども、われロボットの目からしても美しからず。いずれ今夜もまたふられなむ。なぐさめの言葉なりとも考えおくべし。さて仕事なるぞ。われロビタの優秀なること、証明せばや。ピー』
ロビタの立ち働く音もろもろ。
ミキ「マサト、やっと会えた!……もう、わたしを離さないで!」
マサト「ミキ、会えた……会えたね……もう離すものか、絶対に!」
ロビタ(M)『ピー、なんぞや。またしても起こりくるこの男女二人の声。室内に生体の存すること、わがセンサーに感知せず。ラジオ・テレビ等すべての機械もわが制御のもとにあり。すればこの男女一対の声の生起理由いかにも定かならず。はた心霊現象なるかや?……こ、怖からずや。ピ~~』
ミキ「うれしい」
ロビタ『う、うれしい?ピー』
ミキ「マサト……もうずっと、それこそ永遠に近い時間を離れ離れでいた気がする。マサト……あなたはいったい、どこに行っていたの!?(泣く)」
マサト「わからない、ぼくも。なにかに、どこかに埋没していたような気がする……記憶が戻らないんだ……泣かないで、ミキ」
ロビタ『ピ、ピー。くわばら、くわばら。これは一大事、わがコンピュータにウイルスなど侵入せしものか。このままではわが務めをなし得ず。一度スキャンの要これあり。活動を停止し、ただちにウ、ウイルススキャンを、か、開始するーっ!』
電源を落とすような音。続いてスキャンとおぼしき適当
な電子音の数々。
【ロボットのくせにお化けがこわい…?】
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