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真っ白な封筒には、赤い封蝋にJの刻印が押してある。
「ワラワは一度開封した。読んでみるがいい」
凛は、ToiとMoiを連れだって、先程の長く広いお気に入りの白いソファーに帰った。
Ayaが一見した所感を述べた。
「英語ですね。身元を明かしたくないのでしょう。しかも左手で書いている。インクの滲みで分かるし、角ばったスペリングは、偽装です」
「そうであろうな」
凛は、黒衣の女性に飲みものを頼んでいた。
「組織Jですか? 存じ上げませんが。Ayaも同じだろう?」
Kouの言葉にAyaは頷く。
先程まで、天井のファンで吹いていた優しい風を止められた。
蒸す感じは否めないが、Kouが猫様の毛アレルギーとのことで、配慮してくれたらしい。
凛が女性に合図をしていた。
「こちらは、李雪。紹介が遅れた。彼女からワラワには一言も発してはならない」
雪は、ゆっくりとお辞儀をした。
「雪は、ワラワの母上に当たる。父上の後妻であるから、致し方ないの」
Ayaは、知っていたので、今はスルーした。
――手紙には、こうある。
親愛なる李凛へ。
そちらに双子の雄三毛猫がいるはずだ。
我が組織Jに返すように勧告する。
尚、受け渡しには、李凛一人で来れたし。
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